ぶろぐの「つづきから」に小説織り込むのってみにくいよね!ヤだよね!
なんて話をしたばっかりですがここのところ連投ですお。
笑っちゃえ☆
とりあえずムク→ツナ←ヒバ。
むくろがダメンズ。これはファンタジィ。
やばいながい(笑
「君さ、それ、いい加減にしてくれない?」
ひぅん、とトンファーを軽く振ってこびりついた血をはらいながら、唐突にそう切り出した。
あまりにもあんまりだ、と言える率直な要求に、口内に広がる鉄錆の感触を吐きだして、「くふふ」といつもの笑みを浮かべて見せた。むろん、相手が腹を立てるのを見越したうえでの行為である。
「やめますよ?直ぐにでも。ボンゴレが僕に殺されてさえくだされば、今すぐ」
そう言葉にしながらも、通算ごじゅうなりろくじゅうをも下らない数をかぞえる沢田綱吉の生命をめぐる攻防は、今日も結局決着はつかずにしまいになりそうだ。
目の前の雲雀恭也という人物は、あらゆる点において破滅的で絶望的に救いようのない存在だが、その有能さとか優秀さについては(非常に癪だが)認めざるを得ない。今回だとて、結局目の前の彼に気をとられている隙に目的のボンゴレボスは連れていかれてしまった。
六道骸が諦めたことをさとったのか、おもしろくもなさそうに歩く危険人物のレッテルをはられるそのいきものは、とりあえずトンファーをおさめた。
「……君、ばかなの?そんなことあるわけないでしょ」
「彼は甘いですから。命くらい差し出してくださるかもしれませんよ、憐れな部下を思って。」
「残念、外れ。『そんなことあるわけない』のは、僕が許さないからだよ」
あのこのかみひとすじからつめのさきまで、ぼくのものだから。
ふわ、と浮かべるのは肉食獣ににたえみ。自信に充ち、強烈な自我を示すおとこは、さも当たり前のように所有を謳う。たたえたえみは間違えようもなく獲物を狙う、理知的であるがゆえに獰猛な、けもの。そのくせ、すがめた切れ長の瞳が、彼が獲物とするはずのその草食動物のことを語る瞬間、不意に和らぐのを知っている。
随分前から気付いていたその癖を、冷ややかに眺める。
「相変わらず、気味が悪いほどの心酔ぶりですね。貴方がたにはおそれいります」
「……そういうひとくくり扱い、やめてくれない?あの忠犬とか野球馬鹿と一緒にされるなんて、殺したくなるよ」
心底忌ま忌ましそうにはきすてる。群れるとか集団とか、その手の単語を過剰なまでに嫌悪する、その行動原理は理解できなくはないが。
「それに、心酔って言ったら君だって大差ないじゃない」
「はぁ?頭も鳥レベルのようですね、あなたは。」
いままさに、明確に殺意を口にした相手に、こころなど、ささげるはずがない。
脳内に浮かべる標的の姿は、獄寺隼人に連れられ骸の視界から遠ざかるそれだ。あの、――――困ったように笑う顔をした。
何度も何度も何度も何度も命を狙って死ねと願って存在を否定しにかかる相手へ、あろうことかその人物は、笑ったのだ。そして、唇が動きことばをつくるのを見た。
――――その、意味を。
あの光景をリフレインするだけでじりりと脳髄が焦れる。
ああ、ああ、どうして。どうしてもっと早く、殺してしまわなかったのか。
ぎりりと武器を握りしめた手に力がこもる。ゆらりと増した行き場のない嫌悪と憎悪と殺意は、目の前の黒髪の青年へ向けるしか。それはなんて、歯がゆいことか。
「僕はドン・ボンゴレが憎い。死んでほしい。ただ、それだけです。」
それ以外の何だというんですか?こうして強く強く焼き付き刻まれた面差しは深い憎悪、と烈火の敵意のあかしに他ならないから。その存在を認められない。
認めてしまえばすわ即ち、それは。
「……だからさ、それ、やめてって言ってるんだけど」
無色な声が、始めと同じ言葉をくりかえす。それだけで切り裂かれそうな殺意を涼しい顔で受け流し、徹底した無表情は、骸を見おろす。
無色で無地で透徹したその下に透けるのは、隠しきれない苛立ちに他ならない。
なにが、と問えば、浮かび上がる苛立ちにゆがめられた唇が、ことばをかたどった。
「ごっこあそび」
語感がもついやな空気が、はだをなぜる。「どういう意味ですか」という至極まっとうな問い掛けに対して、雲雀恭也の無表情が、ゆるり、薄い笑みにうつろった。それが、ひどく、カンに障った。口元は確かに「笑み」だというのに、その目の奥には氷のような嫌悪と侮蔑が、くっきり見て取れる。
「……かわいそうだね、きみ。」
「頭の可哀相なあなたにそのようなことを言われる筋合いは、ありません。」
「いい加減、目障りなんだよね。別に僕は君なんて死んでくれてもまったくかまわないから、殺してしまいたいんだけどね。出来ればツナヨシに怒られることはしたくない。だから、いい加減やめて欲しい、そういうの」
「‥‥‥ですから、意味がわからないと」
ほんと、かわいそう。
そう、せせら嗤う声がした。いい加減そういう無様な姿と滑稽な行動にも飽きてきたら、教えてあげるよ。などと腹立たしい前置きをして、端的に彼は言い放った。
「だから、やめて欲しいんだよね。―――――本当に殺す気がないのに、こうやってちょっかいかけに来るの」
「――――は、」
ぶつん、と言葉がみじめにきれる。いみが、わからない。いみが分からない。事実六道骸はこうして沢田綱吉の命を奪いに襲撃をかけていて。力を込めれば折れそうな首をへし折りたくて亜麻色の瞳を抉りだしたくて手足を落として何一つ出来なくしてやりたくて殺したくて殺したくて殺したくて。
殺さなくては、いけなくて。
ころさなければ、ひていしなければ。
「君、殺す気ないでしょう?ああ、違うか、本当は、」
ころしたくなんて、ないんでしょう?
くすくす、と嘲笑うこえが拡張して聞こえたのは、それが。
「―――――気が変わりました。貴方には目の前で守りたい人間を殺される屈辱を味わって頂こうと思っていましたが、やめます。
今、ここで、死ね」
「ワォ、奇遇だね。僕もまったく同じことを思ってた、よ!」
がきぃ、と金属同士のぶつかり合う不協和音。
刃先を器用にトンファーで受け流し、雲雀恭也の表情は喜悦に染まる。戦闘狂が、と小さく吐き捨てると、光栄だね、と強力な一打と共に返される。
距離をとって、歪める表情。ああ恐らく、彼が愛する沢田綱吉というにんげんには、決して見せない類の真実動物めいたものだろう。
「これで君を殺しても、正当防衛だよね。ツナヨシにも怒られなくて済むよ」
「成程。それでは僕は、君の死を聞いて絶望するドン・ボンゴレを精々せせら嗤うことにしましょう」
剣戟は遠い。
本当は知っていた。沢田綱吉がいつもいつだって、殺しにやってきた骸に対して笑ってみせる理由。そして、必ず、その唇が紡ぐ意味。
『 ま た ね 』
吐き気を催しそうな、甘い甘い。許しだとか信頼だとか、或いは親愛だとか。そんななまぬるい。
心の底から嫌悪し忌避しながら、けれど―――――それを、望んでいる自分。
殺さなくてはならなくて否定したくて認めたくなかったのは、きっと。
(ぼくは、きみが、)
浮かぶ嘲笑は、誰へと向けるか。
自分の書くむくろに対して言わせたいこと全部ひばりさんに言わせてみた。
おかげでひばりさんがかなりのどえす仕様である。
要するにかわいそう。ああ、かわいそう。)