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好きなものほど貶したい。テンションの変動はランダムです。
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望月×主人公♀小説れんしゅ。
いきぬきがてら

せっかくだから「ひとCPにつき1作品以上書けない」っていう致命的欠点克服練習。

でもやっぱりふたつめから崩れるなぁ・・・・・
ひとつめの雰囲気を自分で再現できないってどうなんだろう?





「あやとき」呼びについて。
うちのハム子はあやとき、って呼ぶ方向で行こうかと思います。

「あやとき」呼びにまつわるエトセトラは、はるさんが書いてくれそうな気がすごくしたけれど、ハム子の性格違うだろうからいいかなぁ、とか。
クオリティだって、どうせ、うちのとは、比較にならないし、ねっ(涙

ごめんなさい。
そんなわけで是非仁子ちゃんがあやときくん呼びする素敵クオリティ話が読みたいですせつに>私信







 







 朝の少しだけ早い、まだひと気のない時間。
 ひとり、発車前のモノレールに乗って外を眺めていた。
 きらきら。今日もうみは静かにゆらぐ。
 広い広い海。全ての始まりの場所は、ただ穏やかに輝いていて。きら、きら。表面に見える一瞬の揺らめきはもっともっと深い場所にある色を内包して輝くから、一層うつくしい。

 そうしていると、憶えのある人影が出発間際のモノレールに乗り込んできたのが見えて。その影を見た瞬間、反射的に立ち上がり、追いかけるように影が消えた隣の車両へ向かう。
 そこには、想像した通りのひとが、静かにたたずんでいた。

 彼女は、こちらに気付くと、そっと、朝日にとけるような微笑みを、浮かべた。

「望月くん、早いのね、おはよう」
「おはよう‥‥君に、会えるかなと思って」
「ふふ、またそういうこと言うんだから」

 屈託ない微笑みに、「本当だよ」と言うけれど、困ったように肩をすくめられただけだ。本当なのに。どこにいても、気付けばこの面影を追いかけているのだから。

 ―――――きっと、あの時から。以前、このモノレールでことばをかわした時から‥‥‥或いは、もっとずっと前から、何かが変わり始めている。まるで、予定調和のように。
 自分の中の何かと、彼女という存在について。
 だから、本当のこと。 

 彼女という存在は、きらきら、と揺らめく波間のようだと、思った。さざめく波間に浮かぶ白い泡。捕まえられそうで、捕まえられない。ぷかり浮かんでみえなくなる。それが、もどかしい。
 そんな思考に気を取られて、つい、彼女を黙って見つめていた。沈黙が、わずか流れて次の瞬間、すぅ、と彼女は瞳を細めて、あわく、笑った。

「なぁに、りょうじ」

 名前で呼ばれて、瞬間、たじろいだ。
 けれどそれは不快感からでは、到底なくて(もともとその手の行為に抵抗感はなかったし『慣れ慣れしい』と類される行動も、自分にとっては可愛らしいとか微笑ましいとかいう範疇であることが、多いものだから)
 ただただ、それがあまりに。するり、と自然に自分の中に、入ってきたことに対して、驚いたのだ。

「ゴメン。嫌だった?」
「あ、いや。寧ろ望月くん、なんて他人行儀に呼ばれる方が悲しかったから」

 なんだか、うれしいな。
 ―――声に出してから、気付く。ああ、そうだ。嬉しいんだ。彼女の紅い唇が、自分を呼ぶことばを象るというそれが、こうふくだと。
 まるで最初からそうあるのが当然の、こうふくだ、と。
 
「そのほうが、自然な気がしたの」 
「‥‥君も、そう思うの?」
「綾時も?」

 不思議ね、と照れるでもなく困るでもなく呟いた姿が、きらきら。一瞬の光の反射みたいにちらりと揺れる。
 どうしようもなく目が離せなくて、すい、と窓の外に向けられた瞳を、たまらなく惜しい、と思った。

「綾時」
「うん?」
「りょうじ?」
「うん。どうしたの?」

 同じ言葉を繰り返し、何が引っかかるのか少しだけ眉間にしわを寄せている。呼ぶというより音を確かめるようなそれを何度かしたあと、違う、ときれいに呟いて。
 可愛らしく小首を傾けて問いかけてきた。
 
「ねぇ。りょうじじゃなくて、あやとき、って呼んでもいい?」
「あやとき?」
「そう、あやとき。綾時って、あやときとも読むでしょう?」
「ああ、確かに。そういえばそうだね」

 ダメかしら?と無垢な微笑みを浮かべて彼女は問いを重ねた。
 彼女の望みを拒絶する、なんて選択肢ははじめから、まるで自分の中に浮かんでこなくて。だから迷いなんてまるでなく、ただ在るがままに彼女に微笑みかけた。 
 
「君がそう呼びたいのなら、いいよ?」
「本当?ありがとう、あやとき」
「でも、どうして?」
「りょうじもとても素敵だけれど、あなたにはあやときが似合うと思ったの」

 だって、すごくきれいな響きでしょう?
 
「綾の時、なんて。素敵だわ。あなたにぴったり」
「なんだか意味深だなぁ」 

 そうね、と零した笑みが、さわりと心を撫でる。小さなさざなみのように。
 そして彼女はかすかに笑みを深めると、少しだけ背伸びをして、耳元に唇を寄せてきた。内緒話のように、そっと、吐息にかすれる声は、ひどく熱く感じる。

「それにね、『りょうじ』じゃない『あやとき』のあなたが、私だけのものみたいに思えて、」

 なんだかとても、うれしいの。

 そう、紅く囁く。

 そのまま、まるで何事もなかったかのように体を引いてこちらを見上げる彼女の微笑みは。きら、きら。瞳の奥で海が揺れているようだ。
 母なる海。無条件ですべてを投げ出し、うつくしいと、思う。 
 そう、それはひどく自然な感情で。


 その海のずっとずっと深いところで溺れているのは、きっと僕だ。

 

 



 




 

(望月はハム子におぼれる、という感覚だといいな。っていう話。
なんていうか、エムだよね。
確かモノレールから海が云々、って話をコミュでしたような気がするので。)

 

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