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好きなものほど貶したい。テンションの変動はランダムです。
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睡眠不足というか、
だるいというか、
けだるいというか。

新境地。


いそがしいの、きらい。

明日いくはずだった買い物はキャンセルしました。
別にほしいものもないし、交通費もったいない。それなら交通費かからないところで買った方が多分安い。
っていうか雨だし。
っていうか、あめだし。




つづきははるさんへささげる望主そのさん。
意外なほどに自分の中で望主熱も何か書きたい欲は来ているが、なんていうか。
ネタもないわけではないけれど。なんていうかなんていうか。
・・・・・なんていうか。いろんな意味で。

な感じなのでおしまい。



ちなみに前回の話を書く派生で出来たので、テーマは「海」で同じです。
そこはご愛敬。
ゆるせ。



 

「綾時は、夜の海みたいだわ」

 学校帰りの道さなか。半月の映る夜の海を眺めてそう呟いた。
 部活で遅くなると話した筈なのに、冷たい11月の空気の中、校門で飼い主の帰りをまつ犬のような彼の姿を見て、一緒に帰らないという選択は、出来る筈がなかった。

 嬉しくないと言えばうそになるけれど、それ以上に胸をしめた、言語化できない曖昧なじれったさを詰め込んで落とした呟きは、もしかしたらどこかとげとげしかったかもしれない。

「僕が、よるのうみ?」

 けれどそんな曖昧で突き放したような表現にも、彼は怒るでもなく、笑うでもなく、ただ、静かに凪いだ純粋なまなざしを捧げるのだ。

 ――――きっとわたしは贅沢なのね。
 眼下に広がるたゆたう黒い水面のような瞳には私しか映っていないのに、それを見つめると、どうしようもない衝動にかられてしまう。

「だってとっても穏やかで静かなのに、そこに何が沈んでいるのか分からない。たくさんのものをそこに沈めて、たくさんのものを包み込んでるくせに、全然見えないのよ」
「つまり、僕が良く分からない人間だ、ってこと?」
「そうよ。全然分からない」

 分からないの、全然。
 多分、すこしだけこわい。こわくて、さみしい。

 彼の中にあるたくさんのものを知るには、私達の共有する時間はあまりに短くて、浅い。
 たとえば、たかだか数十分もない帰り道のため、頼まれてもないのにずっと寒い中待っていた。そんな理由さえも、私には本質的には理解できていない。

 いろいろなものが足りなくて、こわくて、さみしくて、かなしい。

 そう、とても、かなしい。
 

「‥‥きっと、君が思ってるよりも、ずっとずっとわかりやすいと思うな。だって、君のことしか考えてないから」

 きみがすきだよ、と彼は惜しみなく愛を降らせてくれる。
 それでもわたしは、どこかかなしいのだ。

 一部の隙もなく、彼のことを知りたいのに。欲しいのに。
 どうして私と彼との間に距離があるのだろう。どうしてわたしたちは、どうしようもなく他人なのだろう。

 当たり前でどうしたって動かしようのない事実。違う生命体として存在するからこそ彼は私をあいしていると、言ってくれるのに。
 どうして私は彼と他人であることに、これほどまでのむなしさとやるせなさを覚えるのだろうか。

「僕が夜の海なら、君は月かな。手の届かない月に焦がれて、水面に映る姿だけを大事に大事に抱いてる。」

 きっとそれだけで、幸せなんだろうね。
 私のおろかな欲なんて知りもせず、そんなことを言いながら微笑んだ顔が、たまらなく優しくて。腹立たしいような、くやしいような、泣きたいような、そんな気分だった。

「きっと月は落ちてくるわ。海が恋しくて」
「そう、それは素敵だ」

 笑っているくせに、きっと信じていない。
 
 私が月なら、海にだって飛び込んで見せる。
 あなたとひとつになれてまどろめるのなら、それはそれは満たされた夢をみることができるだろうから。
 まるで、遠い、昔のように。

 それが許されないのならば。いっそひとしずくものこさず夜の海を飲みほしてしまいたいと思うのは、愚かな女のさがなのでしょうか。

 けれど彼は海ではないし、私は月でもない。
 一つにもなれないしすべてをわたしのうちに納めることなど、できはしない。


「ねぇ綾時、手をつないでもいい?」
「聞くまでもないよ。喜んで」


 だから、私と彼が、他人で違う生命体であるがゆえの接触を、わたしは求める。
 他人であることで生まれた空虚さは、他人であることでしか埋められない。

 そう、信じることしか、今の私にはできないから。

 




 


(けれど、本当は望月君が月だったっていう)
(それなら彼女にはやはり、宇宙になっていただくしかないのかしら?)


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